1455年、フストとグーテンベルクは二巻本のラテン語聖書を完成させた。15世紀の記録にはその値段は「二冊で100グルデン」であるという。(「グーテンベルク聖書の行方」、p83)当時の物価で平均的な労働者の二年分の賃金にあたるほど高価なものだったが、それでも写本に比べれば安価であり、写本が一冊をつくるのに一年近くかかることを考えれば大量生産につながる画期的な事業といえた。
1455年に印刷された『グーテンベルク聖書』(行組から『四十二行聖書』と呼ばれる)は完全な形で世界に48セット残っており、ドイツ、イギリス、アメリカ合衆国などに保管されている。日本では慶應義塾大学が所蔵しているが、これはアジアで唯一のものである。グーテンベルク聖書は写本を模して作られたため、後の印刷物のスタンダードである要素を多く欠いている。たとえばページ番号、語間の空白、インデント、段落間の空白などがまだ見られない。2003年の時点で、羊皮紙に印刷された旧約・新約聖書が完全なものが4部、不完全なものが8部ある。紙に印刷されたもので完全なものが17部、不完全なものが19部で合計48部になる。
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グーテンベルクがフストと共同で印刷したものは以下のようなものが知られている。
『ドナトゥス文法書』(1454年) 中世から近代に至るまでもっともよく用いられたラテン語文法書。4世紀のローマ人でヒエロニムスの師であったアエリウス・ドナトゥスの著作。
『贖宥状』(1454年) 三十行。ニコラウス5世がトルコへの戦いに功あるものに示したもの。
『四十二行聖書』(1455年) いわゆる『グーテンベルク聖書』。180部ほど印刷された。
『マインツ詩篇』(1457年) コロフォンにはグーテンベルクの名前はないが、計画の途中までかかわっていたと考えられている。
他にグーテンベルクが自らの工房で印刷していたものとして以下のものがあげられる。
『贖宥状』(1454年) 三十一行。ニコラウス5世によるもの。
『トルコ暦』(1454年) トルコに対する戦いへの協力をよびかける教皇ニコラウス5世の書簡。